うさぴょん号発進せよ

第7節 真意

辺りはオレンジ色に包まれ、やがて闇が降りてくる。

同時に空と大地にも、ぽつぽつと光が灯されてきた。

このドーム内には、完全な闇など降りてはこない。

落ちゆく闇中から徐々に浮かび上がってくるその煌めきが、ラファエルの一番美しいと感じる瞬間でもある。

それも自社ビル36階にある社長室からの眺めが、特に気に入っていた。

「…以上でご報告を終わります」

背後に控えていたヴェイトが、一礼しながら言った。

今日のヴェイトはいつもの白衣とミニスカート姿ではなく、上下男物のスーツを着ていた。

長い髪を後ろで束ねて全身を紺で統一、靴も通常履いているパンプスなどではなく黒い革靴であり、全体的に地味な印象である。しかしメイクだけはいつもの通り、完璧にしていたが。

「ご苦労でしたね、ヴェイト」
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