青空の下で投げた一球【編集中】




最近気に入っている曲が

スタジアム全体に響く。


応援歌が聞える。



「(シュート)」

シュートのジェスチャーをして投げる。


「ナイス!!」

数球投げると、

ピッチングコーチの間森さんは

笑顔で「いつも通りな」って言った。

たぶん今年入団したてだから

まだ緊張してるって思ったんだろうな…。

してるよ。

人数が多い。

今日はホームゲームで

この球団を応援している人が多い。

点差は2点。

ここを抑えるのが俺の仕事。

次の川瀬さんに繋げるのが俺の仕事。

まずは先頭だ。



いつもの様にスタンドの方を向く。


目を瞑って思いっきり息を吸う。

「フッ!!」

ユニフォームの胸の部分を掴んで

軽く引っ張る。


「(大丈夫。……いくぞ!!)」

目を開いて打者を見る。











≪8番 指名打者 篠岡≫



チームの事情で今は野手をしている篠岡。

今日は指名打者だ。

交流戦ならではの『篠岡の指名打者』

今の俺なら、篠岡を討ち取れる自信、

――――あるよ。



5年前を思い出すよ。

もぅ誰にも邪魔されない。




「(今日も同じ想い。)」




―――想い込めて投げろッッ!!!!































思い出すのは


暑い中白いボールばっかり

追っていたあの頃。



こんな俺になるって知らなかった

純粋で弱気な俺。



そのままの俺でいるか、

今の俺でいるか。

決めるのは、あの時の俺。







日本中に認められる

守護神になることを夢見て


青空の下で今日も白球を投げる。






 *青空の下で投げた一球*




            *END*








< 466 / 492 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop