恋 時 計 ~彼はおまわりさん~

すれ違った想い



夕食の時間、お母さんとおばあちゃんはいつものように明るかった。


だけど、私にデートのことを触れることはなかった。


たぶん、私の泣き腫らした目が二人に物語ってたんだと思う。


素敵な終わり方じゃなかったって……。




何も聞かないお母さん達の優しさに、じわじわと胸が熱くなる。


それだけで眼頭が熱くなって、また泣きそうになった。



弱ってる時って、ちょっとした優しさがとても嬉しい。


泣きたくなるくらい、嬉しいんだ……。





「ごちそうさま」


ご飯が喉を通らなくて、ほとんど手をつけずに席を立った。



部屋に入ると、スイッチが入ったように涙が溢れだす。



人ってこんなに泣けるんだ……。



涙を止める術がわからない私は、布団に顔をうずめて泣いた。



どれだけ泣き続けたのかわからない。


いつの間にか、私は深い眠りについていた。



とても深い、深い眠りに……。







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