恋 時 計 ~彼はおまわりさん~


「あのね、その~……ついつい名前より先に『おまわりさん』が頭に浮かんでしまって」


ゆっくりと私に近づくおまわりさんの体。

おまわりさんから、私の言い訳は聞かないよっていう空気が伝わってきた。



もしかして、ここでキスされる?

キスしちゃうの?


答えを聞きたくても、ドキドキしておまわりさんの顔が見れない。


足の踵が食器棚にぶつかり身動きが取れなくなった私は、キスをする心の準備をした。



キスをされる。

そう思ってドキドキしてるけど……


本当はキスしたい。


おまわりさんの唇に触れたい……。




身構えるように肩に力が入っている私は、ゆっくりと視線を上に向けた。





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