恋 時 計 ~彼はおまわりさん~

言葉



おまわりさんに嘘をつかれた後、ただひたすら歩いた。


立ち止まったらいけない気がしたから。

立ち止まったら、もう歩きだすことが出来なくなるような気がしたから……。



溢れだしそうになる涙のかわりに、空から真っ白な雪が降り積もる。


綺麗な雪が、とても切なく思えた。




どうしよう。

せっかくおばあちゃんが用意してくれた稲荷寿司。

もうとっくに冷えちゃってるよね……。




小さな溜め息が漏れたと同時に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「青木?」



「……先生」




当てもなく歩いていたはずなのに、気がつくと行き慣れた学校の前に居た。


そして、目の前には白い息を吐き私を見つめている鈴木先生がいた。






< 425 / 712 >

この作品をシェア

pagetop