恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「嫌だよ!! 嘘って言ってよ!!
お願いだから……」
私が欲しかったにはそんな言葉じゃない。
もう一度、
もう一度だけ優しい言葉を……
『おまわりさん』に会わせて。
おまわりさんの腕を掴んだ私の手を、おまわわりさんはためらいなく振りほどいた。
「悪いけど、これが本音だから」
「い、や……」
「二度と交番に来るな」
おまわりさんは、泣き崩れた私を置いて去って行った。
走り去る車の音がやけに大きくて、
凍えるような冷たい夜空の下、いつまでも鼓膜の中で響いていた。