恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「私ね、冗談じゃなくて先生は本当に凄いと思ってるんだよ」



智子の言葉に、先生と私は顔を上げた。



「卒業まで待つってなかなか出来ることじゃなかったと思う。
好きだったら断られても今すぐに返事が欲しいって思うでしょ? 先生はどうして我慢できたの?」



智子の質問は、とてもストレートなものだった。


先生は手にしていたコーヒーをテーブルに戻し、私と智子の顔に視線を向けた後、口を開いた。



「おまえたちも知ってると思うんだけど……あの学校での教師と生徒の恋愛の噂話」


教師と生徒の恋愛……

知ってる。ずっと前からある噂話。


恋愛をした生徒は酷いいじめにあって、それでもその恋を貫いたって……。




「その生徒、俺の姉貴なんだ」



先生の言葉の後、少しの沈黙が流れた。

そして、智子と私は「えー!?」と同時に声を上げた。









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