夏の想
「わかってるって!しかも俺、ナツにゾッコンだし!」


そういうと、エイは、さっと自転車に乗って、学校へといってしまった。


私は、クスッと笑って、玄関付近にいた、ヒロのところまで、小走りで行った。


私は、とんっと軽い音を立てて、ヒロの肩を叩いた。


「あ、ナツ。見てたよ?ラブラブだね。羨ましいな」


「大丈夫だよ!ヒロも、栗田君と、もっと時間が経てば、ラブラブになれるって!」


「そうかな?なんか、ナツに言われると、元気でた」


ヒロは、エヘヘッと、小さく笑った。


でも、それは、作り笑いで、無理してるのは、すぐにわかった。


昔の、私みたいだ―。


でも、これ以上、ヒロの心の中に踏み込んじゃいけない。


私は、泣いてるときとか、しつこくどうしてって聞く人が嫌い。


そういう時、ヒロは、優しく、背中をさすってなだめてくれた。
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