宿命に逆らって
神威の通う寺小屋は、里内であっても、一番西の方にある、ほぼ他の里との境目に当たるところに位置していた。
家からだいぶ離れた所にあっても、体力のある神威にとっては容易なことであったのだが。




一日が終わり、神威が家へと向かう帰り道。
空はすでに真っ暗で、里の小さな明かりたちと、空にある星や月の明かりだけが頼りだった。



あと少しで家に着く、そんなときだった。



ザワザワ・・・・






神威の家の付近が、遠くからでも分かるくらいザワついていた。
神威はたむろっている男たちに近づいていき、話を聞こうとしたその時ーーーー





「キャァァァァァァーーー!!!」



「!!」

自分の家の中から悲鳴が聞こえた。しかもその声は聞き覚えのある声で、

「・・・・・母さん・・?」


そう思った矢先、もう一つ大きな悲鳴が聞こえた。
人は違ったが、これも聞き覚えのある声だった。



「・・・父さんっ・・!」




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