宿命に逆らって
男の子の整った顔のパーツが崩れていくのが分かる。

「・・・はぁ?」

その声は少し苛立ちを覚えている声で、八雲は体が少々震え上がるのを感じながらも、続けて話始めた。

「あ・・・あの・・その、お・・覚えていないかもしれないけど、9年前に、この川で少しお話したことがあったんだけど~・・・」

男の子の顔は更に強ばっていく。

「ご・・ごめんなさい・・たぶん違う人でした・・・」

八雲は男の子の表情を見て話すことが辛くなり、ついに観念してしまった。頭をカクッと下げて、謝った。
だが、しばらくたって声を発したのは男の子の方だった。


「・・・あぁ~・・そういえば・・」

男の子はひらめいた顔で言った。

「・・え?」
「少しだが思い出した。俺が馬つれて川にいるときに・・」
「そうそう!私が何やってるの?ってきいて、あなたが教えてくれなかった時!!」

 
八雲は思い出してくれたことが嬉しく、少し興奮気味に話した。


「お前が・・あん時の・・・」
「うん、そう!八雲、天野八雲って言うの!よろしく!」
「あ・・あぁ・・(別に名前まで聞いてねーし・・それによろしくなんて言われても・・)」

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