伝えたいんだ


























ああもう、本当、嫌だ。



















せっかく忘れようとしていた気持ちが、




どんどんどんどん

胸の内に溢れてくる。
























恋する気持ちは、




切なく痛い






けど




あなたの腕にこうして包まれていることで






心にポッと温かい灯がともる。



















「結花、一緒に、帰ろうか」















ああなんて、








私はいつから












この言葉を待ち望んでいたことか














「笙、多」


「繋げて呼んでくれると嬉しいな」


「屁理屈、我儘」


「なんとでも言え」


「バカ、どっかいっちまえ、優柔不断」

「お前って…」





笙多兄の頬が見て分かるほどひくついて



「じゃあ、置いてけば」



心の中で、笑った。













あれほど傷んだ胸が、今はすっかりと癒えていく。
幸せに、満たされていく。







「冗談言ってんな。急ぐぞ」



「っきゃ!」




容赦なく引かれる腕。

さっきまで体全体で感じていた温もりは、今後は一点に集中して。










今までにないほど、顔に赤みがさしたと思う。





そんな私の様子を、安心したように、まひるは微笑んで見ていた。
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