純恋
「…きょん━。」
ドキン
大きく胸を打った。
低くてどことなく優しい声が
狭い教室に響き渡る。
姿を見なくても、わかる。
散々耳で追い掛けた声だもん。
見つめられている背中が熱い。
見られてることだけで
こんな締め付けられるような思いを
したことはなかった。
一呼吸おいて
顔を声のほうに向ける。
ゆっくりを視線を絡ませた。
「…雅人。」
震える声で
恐る恐る愛しい名を呼ぶ。
ブレザーを片手に持ったネクタイ姿。
第二ボタン━━━━
あげたのかな?
それは分からなかった。
.