何処にでもあるラブストーリー

第3章 西野 駿 その1

「おい西野、近々、東京本社で人事異動があるかもしれないぞ!」

ここ、新潟営業所長の黒沢部長が僕に言った。 黒沢は僕の上司で、部長職の割に、僕のような平社員にもよく話しかけてくれる為、親しみ易く話し易い上司だった。

ちなみに競馬と碁が趣味だ。 50半ばの彼は背が低く、髪を七三にして、いつも小奇麗なスーツを着ていた。  

「本社でなにかあったんですか?」取引先に電話を掛ける手を止めて、黒沢のデスクに近づき、僕は部長に尋ねた。
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