今宵、月の照らす街で
迎賓館の広い石畳の中央に立ち、近付いて来る敵を待ち構える。


「ソフィ、一歩も動くな」


「え?」


右手で空を横に払い、別空間から大剣を此処に呼び寄せる。


その姿に、ソフィが絶句するのも無理はない。


そして…


「オオオオオオオ!!!!!!!!!!!!」


咆哮が空気を震わせ、人成らざる者が姿を表す。


―――鬼神か!


猛き角、鋭い牙、大きな身体、そして刀の様な爪。


都会にありふれた負の感情が蓄積した姿が二人の前に姿を現す。


「哀れな霊に、永遠の安らぎを」


成二は祈る様に呟き、鬼神を見つめた。


そして呼び出した大剣8本の内、4本を放つ。


鬼神はそれを薙ぎ払い…強大な殺気を紅い瞳に込めて向かってきた。
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