今宵、月の照らす街で
世間で言われる“皇族”とは天照大神の血族のみではない。


月読命と速須佐之男命の血族もまた、そう呼ばれるに値する血族だが、現小龍沢家は一般住宅に住んでいる。


今居るのが、京都市内のその家。


最も、普段は政都・東京のメゾネットを借りて住んでいるが。


その理由は…


「おはよう、成二」
「あら、おはよう」


「おはよう」


この姉2人の通う大学が東京にあるからだ。


その上、成二もまた東京の高校に通っている。


「あ、あけましておめでとう
 今年もよろしく…」


ふと、まだ年始の挨拶を一番身近な人にするのを忘れていた事に気付く。


そう思って頭をペコりと下げると、2人の姉は優しく微笑んでくれた。

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