奏。‐カナデ‐
「片瀬・・・・」
あたしが1度そう呼ぶと、片瀬がはっと目を覚ました。
「松本・・・。あ、俺・・・」
片瀬が、自分の涙に気づく。
と同時に、握っていたあたしの手も放す。
片瀬は、あたしの表情を見て"しまった"という顔をした。
「・・・・・・・っ」
片瀬はあたしの顔を見ないように走って音楽室を出て行ってしまった。
早足に遠ざかる、片瀬の足音。
ずるずると、イスから滑り落ちてあたしは力なく床に座りこんだ。
「・・・っ・・・・・・」
何も、知らなかったの
あたし、あなたがこんなに好きなのに・・・・