涙の欠片
第三章−距離−

カーテンの隙間から入り込んでくる光で目が覚めた。

隣にいるリュウはまだ寝息をたてて眠っている。

あたしはリュウを起こさないようにベッドから下り風呂場へ向かいシャワーを浴びた。

浴びた後、脱衣所の床に置いている透明のビニール袋に包まれた見慣れた制服。

あたしの制服。

リュウのお姉さんがクリーニングに出して戻ってきた制服のビニール袋からパリッとした制服を取り出し、身を包む。


脱衣所にある洗濯機のボタンを押して部屋に戻り、あたしはガラステーブルの前に腰を下ろし鏡と向き合った。

乾燥した肌に化粧水を含ませファンデーションを頬に滑らす。



「…おはよ」


背後から聞こえた小さめの声にあたしは手を止め、後ろを振り返ると寝転がったまま頬杖を付くリュウがこっちを見ていた。


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