涙の欠片
「遅くなったな」
達也はそう言って、あたしの手を握り自転車置き場まで歩く。
「ううん。大丈夫」
「なぁ、恵梨菜?」
自転車置き場まで来ると達也は急に低い声を出した。
辺りは電気なんて全然なくて遠くの灯りだけで薄暗い。
「何?」
そう言って達也の方に振り向いた時、達也はあたしの唇に自分の唇を重ね合わしてきた。
思わずビクッとしたあたしは達也の胸を軽く押す。
だけど達也はあたしの後頭部に手を添えて自分に引き付け、激しく唇を奪う。
達也の舌があたしの口の中に強引に入ってきた時、あたしは思わず声を漏らした。
「…ん…、ちょ…」
暫く何度も重ね合わしていた唇を達也はそっと離すと、そのままあたしを抱き締めてきた。
「ごめん…。なんかお前が離れていきそうで…」
達也はそう言って、また強くあたしを抱き締めた。