涙の欠片
「コラァ!!お前ら2ケツするな!!」
校舎の裏から表に回った時、凄まじい怒鳴り声が飛んできた。
一瞬あたしの肩がビクっと上がり、後ろを振り向くと生活指導の先生が1階の窓から身を乗り出し叫んでいた。
「恵梨菜、手振っとけ」
うっすら笑う一馬にあたしは一馬の腰から手を離し、先生に向かって大きく振る。
「いい加減にしろ!!」
またもや続く先生の怒鳴り声に一馬は「うぜっ」と呟く。
「一馬が振れって言うからじゃん」
「マジで振んなよ」
「何それ…」
ムッとするあたしに一馬はクスクス笑い、それに釣られてあたしの顔からも笑みが漏れていた。