涙の欠片
しゃがみ込んでタバコを吸う仕草。上目線であたしを見上げる怒りの顔。
初めて見た…
あんな翔平の顔。
濡れた髪を目立たなくしようと手でパパッと梳(と)きながら駆け足で校舎へ向い、すぐにトイレに駆け込んだ。
鏡に映る自分の顔。
下を向いていた所為か思ったより化粧は崩れていなかった。
鏡に映る自分の顔をおもいっきり睨む。この顔の所為で…
トイレをでて教室の前まで来ると壁に背をつけた一馬がダルそうにあたしに視線を向ける。
だけど一馬は何も言わず壁から背を離し、あたしの横を通り過ぎて姿を消す。