Kiss or Kiss



店を出て拓也は私を家まで送ってくれた




「…綾香、やっぱり俺にしねぇ?」
「…拓也のことをもうそんなふうには…」
「それなら友達になろ?」
「友達?」
「俺なら隼人のことで相談にものれるし」
「…うん、いいよ」




初めてのホストクラブ
不安がいっぱいだった
でも拓也がいてくれて本当によかった




隼人の帰りを待つのが怖い




そして拓也と別れ、部屋の鍵を開けた




「遅かったなあ?」
「帰ってたんだ…」
「拓也に送ってもらったん?元彼なんやろ?」
「…誰に聞いたの?」




「理奈」




聞きたくなかった…




「理奈ちゃんと付き合ってたんでしょ?」
「拓也に聞いたん?」
「そうだけど…」
「…確かに昔は理奈が好きやったけど今は綾香しかみえてへん」
「…理奈ちゃんは?」
「あいつは客、俺のこと信じられへんか?」




私は隼人の彼女なんだ




私が隼人を信じなくちゃ




「…信じる」
「俺の彼女はお前だけやで?これからもずっとな」
「うん」




私、自分で思ってたより隼人のことが大好きみたい




隼人は私を優しく抱きしめた




「綾香、愛してる」




だってこんなにも心が温かくなるんだもん


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