Kiss or Kiss
濡れた瞳



"俺が帰ってくるまでおとなしく寝てろよ"




目が覚めると拓也はもういなかった




ピンポーン




「…誰だろう」




インターフォンに映っていたのは…




「…理奈…ちゃん」




「少し綾香ちゃんに話があるの、開けて?」




私は理奈ちゃんを部屋に入れた




「いきなりでごめんなさい、少し話がしたくて」
「隼人のことですか?それなら…」
「私ね、妊娠してるの」
「…はい」
「お客さんとの子供でね、私は彼を愛してるから産みたいの」
「…知ってました」




私は隼人の手紙を読んでいたから真実は知っていた




「隼人は優しいから…今の私を1人にはできないんだと思う」
「…それは私よりも理奈ちゃんを選んだからじゃ…」
「私は隼人を愛していない、隼人も私も愛していない、だけど今の私には隼人が必要なの」




理奈ちゃんの瞳には涙が溢れていた





「綾香ちゃん、本当にごめんなさい…」




「それなら、せめて隼人を愛して下さい」
「…隼人を?」
「利用するだけなら…私はあなたを許しません」


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