Kiss or Kiss
記憶の欠片



その日、拓也は帰ってこなかった




「昨日はごめんな」




翌日に帰ってきた拓也はどこかいつもとは違った




「…拓也?」
「…綾香は隼人のところにいきたい?」
「…隼人は拓也の友達でしょ?私には関係ないでしょ?」
「綾香が隼人を忘れるはずねぇだろ?」




「…忘れて…る?」




私が隼人を忘れてる…?




「あの夜…何があったんだよ」




あの夜…?




あの夜、私は…




「…隼…人…」




涙が溢れ出してきた…




拓也は私の頭も優しく撫でて




「…もう…我慢しなくていいから」
「…拓也?」
「…終わりにするなら綾香が言って?」




「…ヤダ…」
「同情なんていらねぇよ?」
「…私はっ…」




あなたも大切なのに…




「…ゆっくり考えればいいから」
「…拓也…」




ねぇ、拓也?
泣いてるの…?




「…拓也、私は…」
「……」
「…あなたが好きよ?本当に大切だよ?」
「だから同情なんて…」
「でも…たぶんそれは隼人の次に…」




最低な私でごめんね…?




「なぁ、綾香は今、誰に会いたい?」




私は…私は…


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