夢で桜が散る頃に。

生きる事を選んだ私は、3日後に仕事に出た。
昨日は御葬式だったから気分は少しブルーで。
今日の仕事で、嘘でも笑顔を作れるか分からなかった。
事務所の社長やマネージャーからは休みを勧められたけど、私はそれを受け入れなかった。
今日の撮影場所は、事務所内のスタジオ。
ここに来たのは仕事をする為だけではない。

顔を合わせて、話したい人がいるから。



撮影が全て終わった後、私はその人の控え室に向かった。
白くて長い廊下を歩きながら、まるで‥‥天国へ通じる道の様だ。と思った。
ふと、目に留まったその人の名前が表示されたドア。
私はそのドアをノックした。

「は~い、どうぞ」

私はドアを開けて、その人物に目を向ける。
一瞬、相手の顔が引きつったのが分かった。
そして引きつったかと思えば、鋭い視線で私をグサリと睨み付けた。

「‥‥何の用?」
「‥人を殺しておいて、よくこんな所に来れるわね」

私は、ちゃんと知っている。
‥‥あんたが志黄を殺した事を。

「何で私を刺そうとしたの?」

志黄が死んだ理由、その元を辿れば私。
だからちゃんと分かっておきたい。

「‥貴方が‥‥貴方が悪いのよッ!!」

急に怒鳴り付けられた言葉に、多少怒りを感じるのは無理も無かった。

「私はいつも懸命に、自分磨きに必死だった。モデル界で一番になる為に頑張ってきたのよッ!なのに‥‥それなのに、貴方なんかに先を越された」

何‥、何なの?それ‥‥

「だから貴方を刺そうとしたのよッ!!」

そんな事で‥‥

「邪魔だから消そうとしたのよッ!!」



‥‥志黄は‥‥


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