涙の終りに ~my first love~
揺れる想い
やがて冬休みが終わり、始業式の日がやって来た。オレは年賀状の件で怒りに燃えていた。
その日は朝から雪で学校に着く頃には吹雪になっていた。
教室に入って席に着こうとすると、オレよりも早く来ていたマミが駆け寄って来て
「はい!」っと微笑みながら「真子からの年賀状よ」と差し出した。
手渡されたそのモノは普通のハガキで切手も貼っていなかった。

この瞬間、あいつ始めから元旦に届ける気などなかったんだと思うと怒りが増した。

さらにその内容はあけましておめでとうの後に
「真子もユウジと同じクラスになりたい」と書いてあり、
その下にあいつの好きなアイドルタレントの切り抜きなどが貼ってあって、無神経にヨロシクなどと書かれていた。

真子は自分から言い出した年賀状をこんなカタチで終わらせるのか?

オレはマミに「返して来い!」と怒鳴った。
「えっ?」っていう表情のマミに「いいから返して来い!」と続けて怒鳴り
乱暴に椅子に座ると腹が立って仕方なかった。

オレの年賀状を見てユウジと同じクラスになりたいと思ったんなら何故その思いを早く伝えようとしないのか?
オレが逆の立場で年末に忙しくて出せなかったんなら返信は元旦に自ら届けてる。
しかもあのハガキには切手さえ貼っていなかった。
年賀状というモノでないにしろ交際相手からの手紙の返信を一週間も放っておける事が信じられなかった。
今の知識から言えば価値観の違いとすぐに答えがでるが、あの時のオレには理解出来なかった。

理解出来ない以上許せるはずもなく、真子を愛してるから辛くて苦しかった。

体育館で始業式の行事が終わり、教室に戻ろうと階段を上っていると真子からの手紙が回されてきた。
階段を上がりながら手紙を開けると「今日一緒に帰ろう」とだけ書いてあった。

帰る約束よりも先に言う事があるんじゃないかと思うと気持ちの整理が付かず、複雑だった。
だけど好きである以上「そんな気分じゃない、一人で帰れ」とも言えなかった。

すべてを終え待ち合わせの便所前に行くと吹雪が激しさを増していた。






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