涙の終りに ~my first love~
年上の女性
あの日からマミに悪い事をした、どんなカタチでもいい償おうと思っていた。
そしてあり得ない事ながら

「もしマミとつき合ったら・・・」なんて考えてみたりもした。

だけど数日後にバスの中でマミと偶然出会うとそんな思いは一瞬にして消えていった。
帰りのバスでオレを見つけたマミは

「よっ! ワキゲ屋さん」などと言いながら近寄って来ると

ワザとオレの靴を踏みながら隣に座り、

「今さ、私近所のマセた中坊に告られてんだよ。どうすればいい?」といつものマミに戻っていた。

オレは自分の靴の上に載ったマミの右足を払い除けてから

「中坊ならまだ背もあまり変わらないだろうから、そいつの背が伸びるまで期間限定とかでつき合えば?」と愛想無く答えてやると、
鬼の形相で「パスケース返せ!」と掴みかかってきた。

すかさずオレも「一度貰ったものは返せねぇ!」と叫び、バスの中で人目も気にせず暴れ回った。

結局、社会人になってもマミとはいつもこんなノリだった。

それからの高校生活では短い期間ながら何人かの女とつき合った。

でも誰も長続きはしなかった。
ふられたり、ふったりしたけどそのほとんどが自然消滅ってカタチで終わっていた。

やっぱり心のどこかで真子や聖子と比較していたと思う。

初恋の真子、そして傷つけた聖子と二人のインパクトはオレの心の中でやはり大きかった。
高校が終わる頃には5歳年上の女性とつき合ったりもした。
年上の女性と同世代の女の違いって男に対する気の使い方やもてなしと色々あるけど、
一番オレが違うと思ったのは下着だった。

下着が可愛いとか豪華ではなく”高価”なのが歴然で、それは親に養ってもらっている身分と自分で稼いでいる人の差なんだろうけど、見えないところにもお金を掛けているのが大人だなと思った。
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