涙の終りに ~my first love~
彼女の告白
あくる日の朝、マミが真子からの手紙を持ってきた。
いつもと違って何故かマミの手渡し方がぎこちなかった。
いつもなら冗談のひとつも言ってマミは席に着くのに、この時は無言のままだった。

授業が始まってから手紙を開くと「昨日は言い出せなくてゴメン」から始まったその文章は、オレの前にいたらしい彼氏とキスの経験があったとの内容だった。
読み終えるとショックというより悔しい気持ちでいっぱいになった。
半年以上付き合ってやっとキスをしたのに僅か数週間の付き合いで前の彼氏とキスをしていたなんて。

北風の吹きぬける窓の外の景色を見つめながらオレはブルーになった。

大切に思う事、その気持ちは形にしないといけないものなのか。
その形とはキスをしたりする事なのか。
大切にする事は優しくする事だけじゃないのかも知れない。

色んな事が頭で交錯したが、結局それでオレが真子を嫌いになっていまうほどの重大な問題ではなかった。
むしろ彼女は黙っていればわからない事を勇気を出して告白してくれた。

前の彼氏とやらがオレの前に現れ「俺は真子とキスまでしたぜ」なんて報告するわけもないし、
はっきり言って彼女が隠そうと思えば隠し通せる問題。
オレだって洋子との関係を必死で説明した。
ひょっとしたら真子も前の彼氏とのキスがずっと胸につかえていたのかも知れない。

そう思うとなんとなく真子の告白を受け入れられる気がした。
そして今度はオレが真子の全てを奪う、オレがアイツの初めての男になればいい、
そう思った。


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