赤りんご





朝食を済ませて、集合時間にバスに乗り込んだ。



亮太は後ろの1番端に座っている。



昨日のことを知っているみんなに、無理矢理亮太の隣に座らされた。




バスの移動中、さすがに寝不足だったみんなはうとうとしていた。



大崎くんは爆睡状態。




それを見かねた亮太は、私の手をそっと握った。




「ちょっと亮太…」



みんなにバレないように小声で言うと、亮太は私の耳元で答えた。



「みんな寝てるから平気だよ」



嬉しくなって、私は小さく頷いた。




「まだ眠い?昨日よく眠れた?」



大崎くんも寝てるし、朝も眠そうだったから、あまり寝てないのかも…。



「眠れなかった。お前は?」



「私もあんまり寝てないんだ…ずっと起きて喋ってたから」



「ふーん…それだけ?」



「え?」



すねたような表情を見せる亮太。



それだけって…?





「俺は昨日…お前が可愛すぎるから、思い出しただけで眠れなかった」



昨日って…


いきなりそんなこと言わないでよ。



恥ずかしい…。




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