赤りんご




「本多…良かったな」



「何だ…亮太も気付いてたの?」



「俺もそんなに鈍感じゃねえよ!」



亮太も本当に変わったね。



私と付き合うまで、女の子と話すのも嫌がってたのに…。



今じゃ、えみちゃんの心配をするくらい…優しくなった。




バスのライトに照らされる千明さんが見えた。



修学旅行中、初めて姿を見た。



大きな声で笑っている。



何だか楽しそう…。



よく見ると、千明さんにちょっかいを出す男子がいた。



もしかしてあの人…




「同じクラスに自分のことだけを見てくれているヤツがいるんだってさ…前に言ってた」



「そうなんだ…」



幸せそうに…


楽しそうに…


二人とも笑ってる。



良かった…


安心した。




空気が冷たい北海道の夜。




みんな幸せになれますように…。




キラキラ輝く星空の下で、


私はずっと、そう祈り続けていた。





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