赤りんご




「どした?」



亮太は私の顔を覗き込んだ。



何も言わない私に、亮太は少しため息をついて言う。



「親が心配するだろ?」




いつもそう言って心配してくれる亮太。



うちの家は門限なんてちゃんと決まっていないのに、私のことを気遣かってくれる…


優しい亮太。




でも、今日だけは…




「もう少しだけ…」



「え?何?」



「今日だけは…もっと亮太と一緒にいたいよ」



気付くとそう言っていた。



自分でも意外だった。



でも、これが私の本心だった。



「だめ…?」



亮太は私から目をそらした。



「家は…?」



「連絡さえしたら大丈夫」



「でも…」



「お願い…」



遮るように亮太にすがった。



どうして…?



何でだめなの?



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