独眼狼ーワンアイウルフー



コックピット内部に取りつけられた通信機から声が響く。

少年の声なのだが、少し声のトーンが高めである。


『レクスそいつで最後だぞーっ』
「……分かってる」


その声に応えたのはレクスと呼ばれた少年。

その声はどこか冷めた雰囲気をかもしだしていた。



銀色の髪。
整った顔立ちに目立つ、右目の大きな傷痕。

その傷痕が原因なのか、少年の右目は閉じたままである。


通信を切り、少年は口を開けた。


「…行けるな、ケルベロス」
『勿論だ』


少年の言葉に、少年の乗る機械獣…ケルベロスが応える。



ケルベロスは、狼をモチーフにした特殊型陸用機械獣。

黒い体に映える、燃えている様に紅い鬣(たてがみ)。

……そして、右目に傷痕。


< 13 / 241 >

この作品をシェア

pagetop