one contract

one contract -mark 9- 菫目線




アオちゃんが他の人血を口にしてから、ボクは生徒会室に全く行ってない。
あの時ボクに見られたって、絶対にアオちゃんは気づいている。
だからアオちゃんに会いに行ったって、



これ以上空気が重くなるだけ。
ボクがそれに押しつぶされるだけ。



だから、あの出来事以降は屋上に来ている。
前に一度来た事があって、此処から見える景色があまりにも綺麗だった。
それは季節が夏に変わろうとしている今でも綺麗だった。
だからボクのお気に入りの場所なんだ。

イヤな事があった時、
つらい事があった時、
悲しい事があった時、

此処に来て、仰向けに寝そべって、何処までも果てし無く青い空を見ると気持ちが和らぐ。
それに心地良い風が、ボクを優しく撫でてくれるからとても心も身体も落ち着く。
だから此処が大好きなんだ。

でも、最近は落ち着かない。



この綺麗な空を見ると、青を見ると、思い出してしまうから。
アノ人の瞳と‥‥同じ色、だから。

「‥‥どうして?」

どうして頭から、ボクから離れないの?
離れてくれないの?

アオちゃんと今は一緒に居ない。
だからもちろん、



顔が見えない、
声は聞こえない。



なのに、ボクからアオちゃんの存在が離れないのは、どうして?

『会長のコトが好きだからじゃないのかな?』

前に桃に言われた言葉。
この言葉は、あれから何度も何度もボクの中でリプレイされる。
その度に持っているミュージックプレーヤーの音量を最大にして、その言葉を頭から掻き消そうとした。
でも、この行動は全く意味を持たなかった。

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