one contract

one contract -mark 14- 菫目線




目を開くと、真っ白な世界の中にボクはいた。
ぼぅ、と一点を意味なく見つめていたら、アオちゃんが視界に入ってくる。

「気が付いた?」

そう言って、優しく微笑みかけきたアオちゃんにボクはこくりと小さく頷いた。
ここ、天国かな?
さっきの激痛は嘘の様に消えていて、少しだけ手がピリピリと麻痺していた。
でも、麻痺している感覚があるという事は‥‥

「起きれる?」

アオちゃんはボクの背中に手を回して、ボクをゆっくりと起こした。
そして辺りを見渡せば、そこはいつもの生徒会室。

「?‥ぇ、あれ?」
「どうしたの?」
「‥天国に、行ったかと思ってた」

ぽか~んとして言ったボクに、アオちゃんは笑って言った。

「あはは、そう思うよね。天井白いから」

そう、生徒会室の天井は真っ白で綺麗だ。
天井なんて、意識して見た事無かったから、

‥‥真面目に天国に来たかと思った。

「ねぇ、アオちゃん。さっきの激痛何だったの?」

紅茶を注いでくれているアオちゃんの後ろ姿に、ボクは問い掛けた。

「“契約”するって事はさ、吸血鬼はその特別な存在の人しか受け付けれない身体になって、特別な存在の人はその吸血鬼の専用の“餌”なるでしょう?」
「‥うん」
「つまり、今までの身体ではいけない」
「‥うん?」
「だから、身体の創りが変わったんだよ」

って事はさっきのキスで、
アオちゃんはボクしか受け付けられなくなって、
ボクはアオちゃん専用の“餌”になったって事?

「“契約”するって事はこういう事だから、先輩はあんなに言ってたのか‥‥」

アオちゃんはぽそりとそう呟いて、ボクの前に紅茶を置いた。

「紅と何か話したの?」
「ううん、別に何でもないよ」

そんな事より、そろそろ来るかな。
時計を見ながらアオちゃんはため息を付く。

そろそろ来るって?

するとドアが開き、紅が入ってきた。
続いて桃も。

「おぅ、‥何だ、お前ら」
「『何だ』って、こっちのセリフなんですけど」
「ちゃんと契約したか?」
「うん。この通り」

って、わわわっ!!
アオちゃん、何シャツ脱いでんのっ!!

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