楽天家の願い事
しかし、僕が思っている以上に原付バイクはあっけなく止まった。

おばあさんと僕との間は3m程もある。

おばあさんは重そうな荷物を「よいしょ」と持ち直すと、「すみませんねぇ」と言い、再び歩き出した。

とたとたと歩みを進めるおばあさんの後ろ姿を見ながら、僕は胸がぐっと熱くなった。

違うよ、おばあさん。今のは僕が悪いんだからおばあさんは謝らなくていいんだよ。

おばあさんが横断歩道を渡り終えるまで見続けようと思ったが、

後ろの車から「プーッ」とクラクションを鳴らされ、慌てて僕も走り出した。









< 2 / 19 >

この作品をシェア

pagetop