制服のボタン


いつか沙織が屋上で言ってた。




人を好きになると色々な感情が湧いて来るって。





本当にそうだね…



……………

……………






翌日退院した私は。




部屋で陵弥に貰ったボタンを見つめていた。






"信じられなくなったら返して"






陵弥が信じられない訳じゃない…




でも。




傍に居るのが辛い…





陵弥を傷付ける自分が嫌だった。






こんな私がこのボタンを持ってる資格ある…?




傷付けるだけで。





二度と陵弥の傷付いた顔見たくないよ…






俯くと、パラパラと顔に掛かる髪…






陵弥が綺麗だって言ってくれた髪…






私は自分の髪を指に絡め。



唇に当ててキスをした。



目を閉じて。






出会った時の陵弥を思い浮かべて。




陵弥が私にして見せた様に…






陵弥を真似たキスは涙の味がした。














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