ハイスクールデイズ
7.それでも距離は縮まらない
「家にも学校にも連絡済みだから、もう少し寝てろ。腹が減ったら一階に下りて来い。それからこれ、書ける所だけでも書いとけ」

押し付けられた書類は、とある公的機関の奨学金申請書だった。

「でもこれ、人数制限もあるし、申し込み期間だって……」
「そんなものはどうにでもなる。その代わり、バイトを減らして、勉強しろ」

部屋を出て行く後姿をぼんやりと見つめながら、思い出したように、小さな声で礼を言うと、正隆は眼鏡のブリッジを持ち上げて微笑んだ。

「眼鏡代は受け取っておく。これから、仕切りなおしだ」

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