ハイスクールデイズ
10.接点なんかなかった
「本当にかっこ良かったんだから!」
「私も見た、ドキドキしちゃった」
「いいなあ、私も伊集院様にあんな風にお姫様だっこされてみたーい!」

話題の王子様をひと目見ようと集まってきた少女たちは、保険医によって保健室から締め出され、それでも諦めずに扉の向こうにたむろしていたが、たまたま廊下を通りがかった体育教師の一喝で、クモの子を散らすようにいなくなった。

ベッドのそばのパイプ椅子に腰掛けた正隆は、両手で顔を覆ったまま動かない。
「考える人」を何倍も深刻にしたようなその姿に、思わず手を差し伸べたくなる。

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