『花、愛でる人』

「いらっしゃいませ……あぁ」



レジの前でラッピング用のリボンを整理していた蓮がゆっくり顔を上げる。



店先に現れた見知った顔に向けてくれる笑顔は、やっぱり優しい。



「こんにちは……」



ペコリとお辞儀して見せたわたしに、



「この間はケーキ、ご馳走様」



美味しかったよ。
なんて、いちいち付け加えてくれる言葉と笑顔が相変わらず甘い……。



そして、相も変わらず赤らむわたしの頬。



いい加減免疫がついて欲しいとこなんだけど……。




「どっかにお出掛け?」




レジから出て来た蓮が歩み寄ってくれるのに合わせて、わたしも蓮の方へと足を伸ばす。




「えっと……プレゼント用の花束が欲しいの」



数日ぶりに逢う蓮にまだ胸が高鳴るのは変わらない。



でも、それを必死に抑えて、なるべく自然な笑顔を浮かべる練習なら一杯した。




「アイリスと霞草の花束くださいっ!」



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