another contract
聞こえてたらどうなってたか‥。
‥‥次は寒気がしてきたぜ。
俺達はとりあえず、屋敷を出る事にした。
集会が終わるまでに、あと少し時間がある。
「紅」
正面から優しく俺の名前を呼んだのは、爺ちゃんだった。
「無事と言っては難だが‥出られたようじゃの」
「ああ‥‥」
「葵、お前も御苦労だったようでのぉ」
「本当、昔から先輩と貴方たちには頭を悩まされますよ」
ははっと笑いながらそういう葵に、ムカついたのは何年ぶりかに思えた。
葵は、これ以上お二人さんを邪魔しちゃいけないようだから。と言って、赤い姿のまま去っていった。
おいおい、その格好のまま表歩くのかよ。
まぁ、俺たちもそのつもりだがよ。
「葵に頼んでのぉ、お前を救ってやってくれと」
「はぁ!?」
「葵まであんなに傷だらけにしてしもうた。いつかちゃんと詫びんといけんの」
「爺ちゃん、あのなぁ‥‥」
「お前にとって葵に助けられるなんぞ、屈辱以外のなんでもなかろう。でもなぁ、」
たった一人の孫なんじゃ、そう簡単に死なれてたまるか。
そう言う爺ちゃんは眉間にシワを寄せて、困った様に笑った。
そして言った。
「紅、おかえり」
「おう‥ただいま」
次に爺ちゃんは桃を見た。
そして、ありがとう。と一言。
「私の離れに来なさい。そんな血だらけの格好で表は歩けん。警察に捕まるぞぃ」
‥じゃあ、今出て行ったアイツはどうなるんだよ‥。
「桃とやら、お前さんにはちゃんと説明せんとのぅ。紅がしてもいいんじゃが、コイツは物覚えが悪くての」
「んなッ、なんだとぉッ!!」
「‥そうなんですか」
「モロに受けるなッ!!」
「そしてお前にも、ちゃんと話さなければならない事がある」
は?“吸血鬼”と“特別”な存在の事、この屋敷内の事、全部言ったって言っていたじゃねぇか。
隣にいる桃は、クスクスと笑っていた。
久しぶりに見た笑顔は、天使の微笑みとやらだ。
本当に、癒される。
爺ちゃんは、離れに足を進め出した。
俺達もそれに付いて歩く。
「ついでじゃ、今日は泊まって行け」
「‥‥命の保障はあるんだろうな?」
「分からん、お前次第じゃ。息子とちゃんと決着を付けなさい」