another contract
another contract -mark 2- 紅目線
ゴロゴロと走る音と共に、空が割れる。
空からは、次から次へと重力に引き付けられて勢い良く落ちてくる水。
ここ最近、天気はこんな感じで大荒れだ。
なにしろ今は梅雨の時期。
俺、こんなに勢い良く降る雨はキライだぜ。
今日は傘をもって出掛けなかった。
簡単に言えば、面倒だったから。
でも、流石にこんなに降られるとは‥。
全体が水溜りとなってしまった道路を、バシャバシャと水音を立てながら走る。
そういやこの近くに古惚けた教会があったよな。
そこで雨宿りするか。
‥‥家、近いけど。
教会の前に着くと、真っ先に階段を駆け上がって、今にも外れてしまいそうな扉をそっと開けた。
中に入ると、ピチャン、ピチャンと水滴が一定に落ちる音が響いていた。
おいおい、どっか雨漏りしてんのかよ‥。
でも、その音以外に何か聞こえてくる。
何だ?
「っ、‥‥ぅ」
‥‥泣いてる?
人か?
「誰か、いるのか?」
そう問いかけてみるが返事は無い。
俺はその声がする方に行ってみた。
「‥‥」
教会の一番前の席で、そいつは小さくなって泣いていた。
綺麗な黒髪で、白い服を着たそいつ。
一瞬、天使と見違える程に
本当に、綺麗だ。