FAKE‐LAKE
「……これ」

どうしたの、と問うリーナの真っすぐな瞳からアツキは目を逸らした。目の端に、さらりと揺れる栗色の髪が映る。

その色に、ふとセティの事を思い出した。綺麗事を言うなと吐き捨てた時の、悲しげな表情。

怪我の理由を話さずに黙っていると、リーナはそれ以上尋ねる事はせず、左手のタオルをゆっくり解き始めた。

「痛む?」

アツキの顔が歪むのを見てリーナは心配そうに尋ねる。血は止まっているもののきちんと手当てをしなかったため、腫れて熱を持っていた。

リーナの前だから我慢しているけれど、本当はかなり痛い。

「眠れなかった」

リーナは戸棚から救急箱を取り出し、ベッドに腰掛けているアツキの隣に座った。慣れた手つきで必要な薬を取り出し、手当てを始める。


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