FAKE‐LAKE
「髪の色も肌も、瞳の色まで似ているのにどうして違うってわかったの?」
「あ、いやそれはその」
父親かと思って、と言いかけて止める。考えてみたら二人が親子というのは年齢的に合わない。
リーナはアツキの手を握った。細い指が微かに震えている。
「私の母親はね。叔父さんの好きな人だったの」
好きな人“だった”。
過去形の言葉に隠れている意味を感じとり、思わずアツキの息が止まった。
「叔父さんより……確か五つは年上だった。二人が付き合い始めた時、私は五歳位でね。よく遊んでもらったな」
懐かしそうな笑みを浮かべたリーナは遠いどこかを見ていた。その表情は、セティが時々見せる悲しげな横顔に似ていて。
ずき、と胸が痛む。
「来月結婚しようねって。二人が約束してるのを寝たふりして聞いてた。嬉しかったな」
リーナは言葉を止めた。ゆっくり、ゆっくり深呼吸する。
その先の言葉を聞くのが怖い。アツキは息をのんだ。
「次の日、母さんは仕事から帰って来なかった」
ドクン、と心臓が音をたてる。リーナは縋るようにぎゅっとアツキの手を握った。
「通り魔に……殺されたの」
茶色の瞳が悲しみで揺れている。
「叔父さんが取り乱す姿を見たのはその時が最初で最後。母さんの遺体を引き取りに行った時」
冷たくなった母さんにすがって、母さんの名前を何度も呼んで。犯人を殺してやるって、人目も気にせず泣き叫んでた。
そう話しつづけるリーナの目にも涙が浮かんでいる。
「次の日、叔父さんは私を娘じゃなく姪として引き取ってくれたの。その時はもう穏やかないつもの叔父さんに戻ってた」
多分、私のために堪えてたんだろうな。リーナは目を伏せる。
光る滴が、幾つも膝に落ちた。
「あ、いやそれはその」
父親かと思って、と言いかけて止める。考えてみたら二人が親子というのは年齢的に合わない。
リーナはアツキの手を握った。細い指が微かに震えている。
「私の母親はね。叔父さんの好きな人だったの」
好きな人“だった”。
過去形の言葉に隠れている意味を感じとり、思わずアツキの息が止まった。
「叔父さんより……確か五つは年上だった。二人が付き合い始めた時、私は五歳位でね。よく遊んでもらったな」
懐かしそうな笑みを浮かべたリーナは遠いどこかを見ていた。その表情は、セティが時々見せる悲しげな横顔に似ていて。
ずき、と胸が痛む。
「来月結婚しようねって。二人が約束してるのを寝たふりして聞いてた。嬉しかったな」
リーナは言葉を止めた。ゆっくり、ゆっくり深呼吸する。
その先の言葉を聞くのが怖い。アツキは息をのんだ。
「次の日、母さんは仕事から帰って来なかった」
ドクン、と心臓が音をたてる。リーナは縋るようにぎゅっとアツキの手を握った。
「通り魔に……殺されたの」
茶色の瞳が悲しみで揺れている。
「叔父さんが取り乱す姿を見たのはその時が最初で最後。母さんの遺体を引き取りに行った時」
冷たくなった母さんにすがって、母さんの名前を何度も呼んで。犯人を殺してやるって、人目も気にせず泣き叫んでた。
そう話しつづけるリーナの目にも涙が浮かんでいる。
「次の日、叔父さんは私を娘じゃなく姪として引き取ってくれたの。その時はもう穏やかないつもの叔父さんに戻ってた」
多分、私のために堪えてたんだろうな。リーナは目を伏せる。
光る滴が、幾つも膝に落ちた。