FAKE‐LAKE
「座ろ?」

リーナが笑顔でアツキを手招きした。

二人きり。他人の部屋だけれど。

この間、優しく抱きしめられた温かさを思い出して妙に意識してしまう。

アツキはリーナから一人分の距離をおいて隣に座った。心臓の音が聞こえないように。

「そういえばアツキ、叔父さんに何か用があるの? ずっと待ってたよね。急ぎ?」

「いや、用があるって言うより顔見たいなってさ」

珍しく素直な気持ちを口にしてみる。リーナは楽しそうにふふ、と笑った。

「アツキ、叔父さんの事大好きだもんねぇ」

確かにそうなんだけど、一番大好きな子にそう言われるのは何か複雑だ。

「セティ、仕事?」

「多分ね」

リーナは曖昧に答えて、少しアツキのそばに寄る。

カチ、と時計の針が重なる音がした。正午だ。


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