FAKE‐LAKE
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レイはたらいに水を張り、こぼさないようにそろそろと二階に上がった。

うなされているアンジェの額にそっと手を触れる。

「わ、すごい熱……」

昨日よりさらに熱が上がっているようだ。顔が異常に赤い。

レイはタオルを冷たい水で濡らし、アンジェの額に置いた。

「アンジェ苦しそう……」

心配で、でも他に何も出来なくて。レイはアンジェの手を握った。

「……い……」

触れた手に反応するように、小さな声が聞こえた。レイはアンジェの顔を覗き込んで尋ねる。

「何?アンジェ」

うっすらと開いたアンジェの虚ろな目は、レイの向こう、遠いどこかを見ている。うわごとのようだ。

「……く、……かせ、きらい……」

何て言っているんだろう?

レイは首を傾げた。よく聞き取れない。

「て、たの……に……」

涙目なのは熱のせいか、夢のせいか。

静かに閉じていくアンジェの目から一筋涙が流れた。

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