FAKE‐LAKE
 しばらくして少年は再び眠り始めた。アンジェはその間に夕食を準備する。
 玉葱とジャガ芋を小さめに切って炒め、干したハムを入れたスープを作る。最後にチーズをナイフで削り入れて味見。
 スープとパンと果物。久しぶりにまともな食事だ。アンジェは軽く自分を笑う。
 週に一度ニールが持って来てくれる食材のうち、パンと果物以外は手を付けない事も多かった。食欲がさほど無い上に、食べる事自体が億劫な時もある。
 せっかくニールが――いやニールは運んでいるだけなのだからどこかの誰かが――用意してくれているのに、と時々申し訳なく思ったりもする。
 でも、アンジェは誰がそうしてくれているのかという事には全く関心がなかった。
 トレーに乗せ、食事を二階に運ぶ。
 きっとお腹が空いてるだろう。そう思って準備した食事に、少年は意外な反応を見せた。
 怪訝そうな顔で一瞥した後、アンジェを睨みつけそっぽを向いたのだ。
「どうしたの? 食べたくない?」
 アンジェの問いかけに答えず、顔を向けようともしない。
 お腹が空いてないんだろうか。それともやっぱり少年は宇宙人で普通の食事は食べられないのかな。
 そう思ったアンジェは少年に尋ねた。
「何なら食べられる?」
「……」
「お腹、空いてないの?」
「……」
 どうしたらいいんだろう。宇宙人は何も食べなくても平気なんだろうか。
 少年は頑なに口を引き結んだまま答えない。
 仕方ない、とアンジェが食事を下げようとした瞬間、くぅと少年のお腹が鳴いた。
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