FAKE‐LAKE
「……生きててよかったなぁ」

大事そうに鉢を抱えてレイは呟く。

「そんなに嬉しいんだ?」

しみじみとした言い方がおかしくて、アンジェは笑いながら聞いた。

うん、と大きく頷いてレイは続ける。

「僕、今すごく幸せ」

それはよかった、とアンジェは微笑んだ。本当に幸せそうなレイの笑顔を見ていると自分まで嬉しくなる。

「……死にたいと思った事もあるけど、生きてて本当によかった」

レイは涙目でアンジェに笑いかけた。ごめん、僕すぐ泣いちゃうねと恥ずかしそうに目を擦る。

チチ、と窓の外でスズメが鳴いた。仲間に呼ばれたのか、杏の枝から飛び立っていく。

「……辛かったんだね」

言葉少なに言うアンジェに、レイは杏の鉢に目を落として小さく頷いた。

「必ず湖の国に帰るって、必ず帰れるんだって信じて生きてきた。でもやっぱり時々、死にたくなるときもあって」


< 211 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop