FAKE‐LAKE
「医者あがりの“ただの”捜査員は躾に口出しはしない。ただ、親切に忠告しただけで」

「何」

「俺はお前達の誰がそいつを死なせたか確定できる。“医者あがり”だからな」

シアナは厭味を込めて続ける。

「それを“ただの”捜査員は正直に博士に報告するまでの事。どうだ? このまま続けて誰の首が飛ぶか試してみるか?」

不本意ながら返す言葉が無いらしく、兵はレイを床に投げだし舌打ちしながら出て行った。

「……やれやれ」

シアナは俯せに倒れているレイのそばで鞄を開いた。

「弱者を虐待し強者にへつらう。負け犬の典型だな」

バカバカしい、とシアナは呟き、気を失っているレイの診察を始めた。

これだけの傷を負って立ち上がれるはずがないと判断し、両手を繋いでいる枷を診察のため一時的に外す。脈をとり、呼吸を確かめる。薬を塗り、注射と採血をする。

「おい、お前生きてるか」

シアナはレイの耳元で呼びかけ、軽く頬を叩いた。


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