FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
アンジェが兵達を脅してロスタナへ向かった頃、ニールはアンジェの家へと向かっていた。
近づくにつれて手に汗がにじみ体の芯が震えてくる。普段なら気にならない小さな物音に何度も振り返った。
やばい、おれかなり緊張してる。上手く脱出させられるだろうか。
ニールは震える手を堅く握りしめた。これは武者震いなんだ、と自分に言い聞かせる。
坂を上がりながら近くに見張りがいるか捜した。どうやらそれらしき影は見当たらない。
少し安心してアンジェの家に入ろうと鍵を開けた時、突然後ろから誰かに肩を捕まれた。心臓が爆音を響かせ、一気に血の気が引く。
ごめんなさい先生、おれ早速ドジったみたいだ。
心の中で平謝りに謝った時、耳元で聞き覚えのある声がした。
「ニール?」
「シ……シアナ?」
びくびくしながら振り向くと、懐かしい深い青色の瞳が目に映った。少し伸びた金髪。
「シアナがなんでここに……」
自分で言ってから気がついた。シアナはロスタナのスパイだったんだ。もともとアンジェやレイを捕まえるためにリアレスクに来たんだよな。
ニールの表情が暗くなる。
「ニールこそどうしてここにいる」
「友達だからさ」
ニールはシアナの問いに無愛想に答えた。助けに来たとは言わない。
「なら早くどこかに逃げさせた方がいい。アンジェを捕まえにロスタナの兵が来る」
そう言ってシアナはさっとアンジェの家に入っていく。
「え、ちょ、待てよシアナ」
妙な展開についていけずぽかんとしていたニールは、シアナを追って中に入った。