FAKE‐LAKE
そういえば、黒づくめのお兄さんにお願いしたアンジェへの伝言は伝わったかな。

それともあれは夢だったんだろうか。沢山殴られて頭がぼんやりしていたし。

レイはその時の事を思い出そうとして目をつぶった。

『必ず助けに来る。だから、それまで頑張って生きろよ』

「……夢、だったのかも」

くす、と自分を笑う。

幸せな夢だったな。誰かが僕を助けたいと思ってくれるなんて。

ピ、ピ、と音を鳴らし続ける機械を見つめ、レイはもう一度深く息を吐いた。

最期が近いのだろうか。今までのいろんな出来事が次々と脳裏を過ぎる。

“自分”になりたくて逃げ出したあの日。特殊な容姿を気味悪がらずに助けてくれた優しいアンジェ。

あの家での幸せな日々。キラキラ光る宝物のような楽しい思い出。

同じ傷を持つ兄さんのアンジェ、それにニールにも沢山可愛がってもらった。

基地に戻ってから毎日辛かったし苦しかったけれど、青い瞳のお兄さんや黒づくめのお兄さん……ここでも優しくしてくれる人に出会えた。


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