FAKE‐LAKE
「口を開けろ」

口元に瓶を近づけて博士は命令する。レイは固く口を閉じた。溢れ続ける涙がぽたぽたと博士の手を濡らす。

「開けろ」

ぞっとするような恐ろしい表情で博士はレイを見下ろした。

「アンジェを殺すぞ」

「なっ」

「アンジェがどうなってもいいのか?」

うろたえたレイの隙をついて口をこじ開け、博士は薬剤を流し込む。

その冷たい液体を思わず飲み込んでしまい、レイは激しく咳込んだ。

「明日には何もかも忘れる。アンジェの事も、今日話した事も全部」

「お、お前の言、いなりになんか……っ、なるもんかっ……」

なおも抵抗するレイを冷ややかに見つめ、博士は部屋を出て行った。


夢見ていた故郷の、真実の姿。自分の出生に関する悲しい事実。

それは、レイにとって虐待されるよりも苦しくて。


「……嘘だああぁ――っっ!!」


電気を消された窓のない暗い部屋に、レイの絶叫が響いた。


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